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本日(19日)発売の週刊文春が、「徹底検証 著名人がすがったがん民間療法」という特集を組んでいる。
小林麻央さんは、「温熱療法」、川島なお美さんや忌野清志郎は「ごしんじょう」、竹原慎二さんは「びわの葉療法」、米原万里さんは「情報水」といった具合である。
がん細胞は熱によわいので、「温熱療法」くらいは、「気休め」の意味も込めて試す価値があるかもしれないが、金の延べ棒を当てる「ごしんじょう」以下に至っては、「気休め」にもならず、おカネの無駄、旅行に出かけたり、おいしい料理を食べた方がよほど、「免疫力の維持、アップ」に貢献するはずだ。
標準治療から離れた、「がん民間療法」に対しては、とにかく慎重、冷静な見方を保ってほしいものだ。
わが広島の星の一つである、元ボクシング世界チャンピオンで、膀胱がんと闘われている竹原慎二さん、くれぐれも…。
「ゆい?いつになったら、いつもの撮影が始まるの?」
この頃、ゆいはスタジオでの撮影がない。
たまたま今ないだけで、仕事を干されたわけではない。
本来なら、由美の撮影をしているはずで、キャンセルになった以上、こればかりはどうしようもない。
「今日は、試し撮りで、午後から入ってるよ。あっそうだ。
あのね、今日、先生が新しい裏方さん連れてくるって。先生の知り合いがスタジオを閉めるから、二人に来てもらうって」
「私、聞いてない!そんな話聞いてないって!」
「え~?ちゃんと話したじゃん。小百合が忘れてるだけでしょ?」
「ゆい、見た?その人」
「見てない。いくつの人なのかも知らないし。気になるなら見に来る?」
「私がバイトだって知ってて聞くの?感じ悪い!」
「ごめん、ごめん。明日のお楽しみに」
学校に着き、小百合を降ろす。
「今そんな話聞いたら、気になって授業聞けないよ」
「ホント、ごめん。行ってらっしゃい。夜は遅れないように迎えにあがりますので」
「は~い」
小百合は、半分ふて腐れながら車を降りた。
小百合は、ユイたちのところに向かう前に一幸に声を掛けられる。
ゆいが車を発進した瞬間、バックミラー越しにその一幸を見つけた。
一幸はすれ違ったゆいの車を見届ける。
「葉山、おはよう。今日の昼、話出来ないかな」
「一幸君、おはよう。いいよ。どうしたらいい?学食でもいい?」
「いや。あいつらに邪魔されたくないから、別の場所がいい」
「あいつらって?慎二君たちのこと?そういう言い方聞きたくないんだけど」
「ごめん」
「じゃ、外のベンチで」
「分かった。すっぽかすのは無しだぞ」
「分かってるよ。じゃ~ね」
小百合は、近くで待っていたユイたちと挨拶をした。
「小百合ちゃん!どう言うこと?」
「その前に、おはようでしょ?お昼に会う約束した。もう何度も言われるくらいなら、会っちゃえばいいって。
ゆいにはちゃんと話すから。それに、場所は外のベンチだし」
「さゆっちぃ~!大丈夫なの?そそのかされそうだからさ~」
「大丈夫だって。何を言われたのか後でLINEするから。じゃ~ね」
小百合はユイたちと別れた後、ゆいにLINEをする。
「ここはLINEより電話?」
そう思った小百合は、その場でゆいに電話を掛けた。
「もしもし、ゆい?仕事中ごめんね。あのね、さっき一幸君に会ってね、今日のお昼休み、一幸君と話をすることにしたの。
キャンパス内のベンチで」
「そう。分かった。絶対に二人っきりにならないでよ」
「うん、約束する。じゃ~ね」
ゆいは外で小百合の電話を聞いた。
小百合が電話をかける前には一幸と小百合が一緒にいるところを見つけていたのでショックは思ったほどはない。
それでも大きなため息をついてスタジオに入った。
「おはようございます」
「ゆいちゃん、おっはよぉ~」
出迎えたのは由紀。
「あっ、ゆいちゃんが来たら、先生の所に来て欲しいって。なんか、映ちゃんのことでって言ってたよ」
「あ~そうだった。対談の記事が発売になってさ。今、メディアで騒がれてるから。そのことかも。
分かった。ありがとう。すぐ行くよ」
ゆいは、ロッカーに荷物を入れると、すぐ先生の所に行った。
「トントン・・・失礼します。おはようございます」
「ゆいさん、おはよう。座って」
ゆいは中に入り、先生の前に座った。
「失礼します」
「ゆいさん、あれから映ちゃんのところに連絡ってしてないわよね」
「はい。タイミングを逃してしまって」
「じゃ~、テレビも見てない?」
「はい。全然見てないですけど。映ちゃん、どうかしたんですか?」
先生は、テレビの電源を入れ、録画したワイドショーをゆいに見せた。
そこには、良くも悪くも映のことをワイドショーのネタ的に放送していた。
見出しには『親の顔を知らない生涯孤独な梶浦映!』
「先生、これってどう言うことですか?生涯孤独って!そんな。
どうして勝手に映ちゃんの両親のことを調べるんですかね?」
映がいた施設にレポーターがインタビューに行き、両親が映を手放した理由をしつこく聞いていた。
当然、施設側はプライバシー保護と言うことで、『お話出来ません』と言って帰される。
雑誌社は、映に何か言ってくれないかと、しつこく付きまとう。
「すみません、これ以上は何もありません。対談でお話した通りです」
「先生、もういいです。ありがとうございました」
ゆいだって、自分の父親がどこで何をしてるか分からない。
知りたいと思った時もある。だからと言って、事情も知らない他人に恩着せがましく探してもらう筋合いはない。
「それでね、ほとぼりが冷めた頃、テレビ番組で告白するみたい。でも心細いから対談した木野下さんと一緒に出るって。収録はこれからだって言ってたけど」
「そうですか」
ゆいは、ため息をついて消したテレビ画面をじっと見ていた。
「ゆいさん、どしたの?」
「あっ、いえ。何でもないです。
先生、後でマネージャーさんに電話して、映ちゃんと話せるか聞いてみます」
「お願いね」